最近はバレエに集中しています笑 すみゆうま/ 0 Comments みなさんこんにちは。トビリシでは最高気温30度を超える日々を送っていますが、いかがお過ごしでしょうか。 先週、ジョージア国立バレエ団は『愛のために』と題した特別な舞台を上演していました。これはミラノ・スカラ座などで活躍するジョージア出身のメゾソプラノ、ニーノ・スルグラーゼさんを中心とした企画で、新作バレエ『ラ・ストラーダ』を前半に上演し、後半はスルグラーゼさんを迎えてプーランクのオペラ『人間の声』を披露するという異色のプログラムによるものでした。 『ラ・ストラーダ』は映画監督フェデリコ・フェリーニの同名映画『道(la strada)』(1954)をもとにした、振付家ジャンルカ・スキャヴォーネの新作バレエです。この映画に音楽を提供したニーノ・ロータはバレエ用組曲も作曲しており、それらを使用した既存の同名バレエを新たに改訂した作品が、今回の新たな『ラ・ストラーダ』でした。 主役のジェルソミーナを演じたのはバレエ団の芸術監督でもあるニーナ・アナニアシヴィリさん。さらには、映画『道』を制作したカルロ・ポンティSr.の御子息カルロ・ポンティJr.さんを指揮者に、イタリアで著名な演出家マルコ・ガンディーニさんを舞台演出に迎え、初日にはポンティSr.の奥さんかつ大女優として名の知られるソフィア・ローレンさんが舞台を鑑賞されました。なんでも旧ソ連圏ではイタリア映画しか鑑賞できなかったとかで、ソフィア・ローレンさんの認知度は周辺国にまして高いのだそうです。そんなわけでリハーサルも時間をかけて入念に行われました。 まあもっとも、僕はソフィア・ローレンさんのこと知らなかったんですけど・・・笑 ▲『愛のために』公演予告映像 一方のオペラ『人間の声』はジャン・コクトーの同名戯曲を原作としています。30分あまりほぼ動きのないセットでの独唱だったので最後のカーテンコールを待つダンサーたちには不評でしたが、プーランクのオペラを聴く機会は滅多にないので、僕は個人的には楽しみました笑。 そんなこんなで7連勤を終えたバレエ団でしたが、残念なニュースもありました。かつてヴァフタング・チャブキアーニと『ローレンシア』などを踊った名ダンサー、ヴェラ・ツィグナーゼさんが先週金曜日逝去されました。享年91歳でした。僕たちダンサーにとっては、昨年トビリシ市内で行われたツィグナーゼさんの生誕90周年記念ガラ公演が記憶に新しく、とりわけジョージア人のダンサーたちには衝撃的な知らせだったろうなと思います。僕がマージナリアに書いた『ゴルダ』初演で主役ジャヴァラを踊られたのもツィグナーゼさんでした。ツィグナーゼさんはオペラ劇場のそばに埋葬されるということです。御冥福をお祈りします。 ▲ヴェラ・ツィグナーゼの『ローレンシア』(1940s?) ▲ツィグナーゼ生誕90周年記念ガラ(一部) 今週バレエ団は、奇しくもその『ゴルダ』と『火の鳥』を上演します。ツィグナーゼさんのためにダンサーたちも一段と張り切ってくれることだろうと思います(僕もがんばります)。 さて、マージナリアの講評がしばらく滞っていますが、こちらは来週、今週の『ゴルダ』公演と自分の書いた『ゴルダ』に言及しながら、短評企画と『Tsunami A.D.365』の評を扱おうと思っています。お楽しみに。 You may also like Profile すみゆうま 東京藝大中退。オランダ国立バレエ学校を卒業後、グルジア国立バレエ団に入団。