そのころジョージアでは・・・

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 ずいぶんご無沙汰しています。まずは、あけましておめでとうございます。

 11月以来のブログですが、近況報告は10月以来途絶えていたみたいなので、ツイッターでジョージア(旧グルジア)バレエ団の動向を整理してみようと思います。

  昨年10月末には、マリア・アレクサンドロワ(元モスクワ・ボリショイバレエ団プリンシパル)とヴラディスラフ・ラントラートフ(同バレエ団プリンシパル)のお2人をゲストに迎え、チャブキアーニ原振付・アナニアシヴィリ改訂版『ローレンシア』全幕を上演しました。旧ソビエト圏では非常に有名なバレエでありながら、現在ミハイロフスキー劇場やジョージアでしか上演されていない演目ということもあり、アレクサンドロワさん・ラントラートフさんともども、この舞台にかける思いはひとかたでなく、熱のこもった演技には惚れ惚れとしました。

 さるにても特筆すべきなのは、第2キャストとして主役を踊ったラリ・カンデラキ高野陽年のペアでしょう。『ローレンシア』はカンデラキが十年来得意としてきた十八番でしたが、今回の舞台をもって本作品とは袂を分かつことが公演前に発表されていました。御年45歳かつキャリア最後のローレンシアとはとても信じられない、目も眩むような鮮やかな技術に、団員一同あらためて舌を巻きました。

 また、カンデラキのパートナーとしてフロンドーソを演じた陽年君が、ラントラートフに引けを取らない豪快なテクニックで観客を魅了したのも記憶に新しいところです。
 
  続く11月には、ミハイル・ラヴロフスキーがバレエ団を訪れ、1月末の舞台ラヴロフスキー版『ロミオとジュリエット』の指導にあたりました。

 『ロミオとジュリエット』という作品は、プロコフィエフが作曲したことからも容易に推測できる通り、バレエ史のなかでは比較的新しい作品で、ミハイル・ラヴロフスキーの父レオニード・ラヴロフスキーの演出・振付で本作がバレエ界に生を享けたのは、1940年のことでした。

 バレエ史的に興味深いのは、プティパやイワノフといった振付家の名のもとで鑑賞される作品がほぼ原初の形を喪失しているのに対し、このラヴロフスキー版『ロミオとジュリエット』は、細部に至るまでの解釈が継承されている数少ない古典作品であることです(この振付に対して同時代的なcomparative criticismを試みるなら、音楽史における晩年のリヒャルト・シュトラウス、日本文学史における後期の永井荷風といった趣があるといえるかもしれません)。特にその後、同名同音楽のバレエが多く登場したという事実を鑑みると、ラヴロフスキー版のもつ歴史的意義に関しては他言を俟たないだろうと思います。いまから本番が楽しみです。

  そして先月は、イタリア・サルディーニャ島のカリャリという町で『白鳥の湖』を上演していました。各国のバレエ団が訪れている劇場とのことで、小さい町ながら公演に対する宣伝には力が入っており、舞台は毎夜翳ることのない暖かな賑やかさに包まれていました。

 幸運にも今回、自分はロットバルトを3度上演するチャンスをいただき、メイクから演技や技術的な部分に至るまで、予期していた以上にいろいろと試してみることができました。やや退屈な感も否めないツアーでしたが、振り返ってみるとダンサーとしては昨年もっとも充実した時間だったのではないかと思います。


去年も今年も中国。
そうこうするうちに、12月末からは『くるみ割り人形』が始まりました。ジョージア正教ではクリスマスが1月7日なので、今週からもまだ4公演ほどが残っています。ここからは怒涛のようにガラ公演や『ロミオとジュリエット』、さらなるツアーなどが立て続けに入っており、団員はみな、今つかの間の安息をむさぼっているところです。



 さて、次回ブログでは一身上の目論みについて詳しく発表するつもりなのですが、今回はひとまず以下のイベントについて宣伝させてください。


  同じバレエ団のプリンシパルであるフランク・ファン・トンガレンと、ソリストの武藤万知ちゃんが福岡で企画した講習会のチラシを、今回僕が作らせてもらいました。なつかしのマージナリアでさんざんお世話になったIndesignを活用したほか、Illustratorでスタジオの地図を作ったり、FIBF PROという新企画の提案にも関わったりするなど、いろいろとお手伝いしています。

 じつは目下、HTMLやCSS、JavaScriptなども勉強しており、チラシ作成からウェブページ運用まで、一人で回せるようになるのを目指しています。もしも「ウチのバレエ教室のホームページ変えてほしいな」とか「公演のチラシ作ってよ」という方いらっしゃいましたら、いつでもご相談くださいね。

 無論、単にチラシやウェブを作ってもらいたいだけという方でしたら、プロのデザイナーさんにお願いすればいいかと思いますが、これまでのブログ同様、単にチラシを作るだけでなく、どのような問題意識で企画や運営を行いたいのか、利用客との関係がウィンウィンになるようなサービスを作るにはどうすべきか、海外にも負けない日本のバレエ界の強みは何なのか、といった多角的な視点からじっくり腰を据えて取り組んでほしい、という方はぜひお声がけください。




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